2012年8月6日月曜日

東京新聞に鵜殿の記事

新名神高速道路建設による鵜殿ヨシ原の問題が、東京新聞に掲載されました。以下、引用します。

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雅楽 存続ピンチ 篳篥用ヨシ原 真上に高速道建設へ

 ユネスコの無形文化遺産で千年を超える歴史を持つ雅楽に欠かせない楽器、篳篥(ひちりき)に使う天然のヨシが危機にひんしている。篳篥用ヨシの唯一の産地、大阪府高槻市の「鵜殿(うどの)のヨシ原」の真上に、新名神高速道路の建設が決まったためだ。雅楽を担う宮内庁の楽部などからヨシの保全を求める声が上がり、地元でもこの七月、署名活動が始まった。 (小林泰介)
 ヨシ原は淀川河川敷に広がる約七十五ヘクタールで、甲子園球場の十八倍。ここで平安時代から採れるヨシの茎が加工され、篳篥の吹き口「蘆舌(ろぜつ)」になっている。江戸時代の古文書に鵜殿のヨシが最高と記録があり、宮内庁の楽部もここで採れたものだけを使っている。
 篳篥奏者の東儀秀樹さんによると、茎が太く、肉も厚く、繊維の密度も高く、世界で唯一の質。ここのヨシでも素材として満足できるものは千本に一本程度しかなく、他の場所のヨシでは代替はまず不可能という。
 国土交通省淀川河川事務所の淀川環境委員会委員、小山弘道・元大阪市大助手(植物生態学)によると、鵜殿には高さ五メートルもの太いヨシが、地下二メートルの肥沃(ひよく)な黒土に根を張っている。「大都市圏でこれほど保全されているのは奇跡的」という。
 小山さんは「工事が始まれば、ヨシの生育に欠かせない水を供給しているポンプは止められるだろう。害虫駆除のためにヨシ焼きが行われているが、真上に高速道路ができれば車の通行を妨げる煙害となり、焼けなくなる」と心配する。環境が変化しヨシ焼きができなくなれば、二、三年でヨシが全滅する恐れがある。  新名神高速は無駄な公共事業として凍結されていたが、国交省は今年四月に着工を決断。これに対して宮内庁楽部は五月、「現地の保全と環境への配慮」を要望した。六月には首席楽長らの連名で「雅楽の篳篥のヨシを守るために」という声明を出した。
 地元ではヨシ原の保全を続けてきた人々を中心に、七月に「SAVE THE鵜殿ヨシ原~雅楽を未来へつなぐ~」実行委員会が設立され、全国規模の署名活動を始めた。他にも雅楽団体や研究者などが保全を求める動きもある。
 国交省は着工の理由に、名神高速の渋滞緩和や震災時の多重的な交通の確保などを挙げる。ただ工事の凍結解除を決めた前田武志・前国交相は「しっかり環境保全に努めているという認識だった」と雅楽との関係を知らなかった。国交省側も「雅楽がユネスコの無形文化遺産だと知らなかった。専門家と意見交換したい」(高速道路課)としている。

記事はこちら http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012080502000091.html

2012年8月3日金曜日

新名神高速道路建設による鵜殿ヨシ原の危機について

現在、篳篥(ひちりき)のリードの産地である大阪・淀川沿いの鵜殿地区に、高速道路着工が決定され、雅楽界に衝撃を与えております。それに対して、宮内庁楽師の先生方ほか有志による声明文が発表されておりますので、以下に転載いたします。
 詳しくは、「雅楽協議会」のホームページをご覧ください。http://gagaku-kyougikai.com/udono/index.html

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「雅楽の篳篥(ひちりき)のヨシを 守るために」

宮内庁式部職楽部首席楽長ほか10名

 雅楽に使われる楽器の篳篥は、平安時代の昔から大阪の淀川の鵜殿に自生する葦が、良いリードとして使われてきました。
 江戸時代に書かれた古楽書にも「鵜殿の葦が最高のものである」と書かれ、また明治時代からは宮内庁楽部で使用する篳篥の葦は、現在も鵜殿の葦のみを使用しています。 しかし、ここ数年、環境の変化により篳篥に使用できる葦が減少してきました。
 また、高速道路建設の話も浮上し、この高速道路が完成すると篳篥に使用できる葦は絶滅してしまうでしょう。
 雅楽は、世界でも一番古くから伝えられている総合芸術として、現在世界中から見直され、ユネスコ無形文化遺産にも登録されております。
また、ハワイ大学、ケルン大学、コロンビア大学などには雅楽を研究し演奏する団体も誕生し活発な演奏活動を展開しております。
 雅楽の中で篳篥は、主旋律を受け持ち、その音色が雅楽の音色を決定付けます。
 鵜殿の葦から奏でられる篳篥の音色は、雅楽の音色として平安時代の昔から親しまれてきました。鵜殿の葦が絶滅することは、雅楽の音色の死を意味するでしょう。
 私たち雅楽を愛し、演奏するものとして、平安時代から受け継がれてきた、篳篥のリードとして使用する最高品質の鵜殿の葦を私たちの世代で絶滅させてしまうことはできません。
 篳篥に使用する最高の葦を守るために最善の措置をとられますよう関係各位にお願い致します。
  2012年6月4日 (順不同)


  久邇 邦昭 前神社本庁統理 
豊 英秋 前宮内庁楽部首席楽長
安倍 季昌  前宮内庁楽部楽長
安齋 省吾 宮内庁楽部首席楽長
大窪 永夫 宮内庁楽部楽長
池邊 五郎 宮内庁楽部楽長
多 忠輝 宮内庁楽部楽長補
芝 祐靖 雅楽演奏家・日本芸術院会員
小野 功龍 天王寺楽所 雅亮会 楽頭 (大阪 四天王寺) 
笠置 侃一 南都楽所 楽頭 (奈良 春日大社)

2012年5月29日火曜日

『雅楽「源氏物語」のうたまい』好評発売中!

3月1日に発売された『雅楽「源氏物語」のうたまい』、その後も好評を得ています。特設サイトには、芝祐靖先生(元宮内庁楽師・雅楽演奏家・伶楽舎音楽監督)や、小山俊彦先生(専修大学教授)などから頂いた書評を掲載しております。ぜひ、ご覧ください。  本書は、源氏物語に登場する雅楽についての解説、雅楽そのものについての解説、天理大学雅楽部の活動紹介から成っていますが、実はもう一つの隠し目玉があります! それは伎楽を収録していること。
幻の天平芸能と称される「伎楽」は今年で伝来1400年。東大寺大仏殿昭和大修理落慶法要の際に復興されてから32年がたちます。そして、来月2日、国立劇場において、同劇場主催による伎楽公演が行われます。
 本書の付録DVDには伎楽のダイジェストが収録されています。現存するDVDやビデオテープで唯一、伎楽を収録するものです。まだの方は、ぜひお買い求めください!!
◆特設サイトhttp://book-d.jp/genji/
◆道友社ウエブストア
http://doyusha.net/SHOP/9784807305650.html


2012年2月24日金曜日

佐藤浩司先生の新著『雅楽「源氏物語」のうたまい』

きょうは3月1日発売の佐藤浩司著『雅楽 「源氏物語」のうたまい』(道友社)をご紹介します。
 日本が世界に誇る最古の恋愛小説『源氏物語』。この物語のそこかしこには、日本の古典音楽「雅楽」が隠し絵のごとく散りばめられています。
 この物語の舞台である平安時代、雅楽はそれはそれはとても盛んでした。「詩歌管絃は貴族のたしなみ」と言って、歌を作ることと雅楽の楽器のいずれかを演奏することは、貴族たちの“必須科目”でした。作者の紫式部はそこに着目して、この物語の情景描写や登場人物の心理描写に雅楽を用いたのでした。
 けれども、雅楽を知らない現代人にとって、その意味を理解するのは難しくなっています。この本は、源氏物語の雅楽にまつわる名場面に、紫式部がどのような意味を込めたのかを優しく解説しています。
 このほか、雅楽の解説や、天理大学雅楽部のエピソードなども紹介しています。
 雅楽を知ると、源氏物語の新たな世界が目の前に立ち上がってきます!!
 雅楽を解説した付録DVD付きで、1500円+税。奈良県天理市内の道友社販売所では、明日から先行発売されます。
 雅楽に限らず、源氏物語に興味をお持ちの方などにもぜひ、お勧めください!!

2012年2月17日金曜日

天理大学雅楽部「東日本大震災慰問公演」岩手県釜石市

天理大学雅楽部「東日本大震災慰問公演」岩手県釜石市での詳細が決まりました。
◇日時:平成24年3月14日(水)13時30分~14時30分
◇会場:シープラザ遊(釜石市鈴子町 JR釜石駅隣)
詳細・問い合わせは以下まで
http://bit.ly/ABzu1t

2012年2月13日月曜日

OB総会及び創部60周年記念式典について

OB総会及び創部60周年記念式典の日程等を以下に記します。
 日時・平成24年3月25日(日)
    総  会=午後5時から
    記念式典=午後6時から(30分前 受付)

 場所・ウエルカムハウス コトブキ
    (天理駅前中大路沿い)
    〒632-0016 天理市川原城町53-3
    ☎0120-400-290
 問い合わせ先 gagakubu_ob@yahoo.co.jp