2012年8月3日金曜日

新名神高速道路建設による鵜殿ヨシ原の危機について

現在、篳篥(ひちりき)のリードの産地である大阪・淀川沿いの鵜殿地区に、高速道路着工が決定され、雅楽界に衝撃を与えております。それに対して、宮内庁楽師の先生方ほか有志による声明文が発表されておりますので、以下に転載いたします。
 詳しくは、「雅楽協議会」のホームページをご覧ください。http://gagaku-kyougikai.com/udono/index.html

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「雅楽の篳篥(ひちりき)のヨシを 守るために」

宮内庁式部職楽部首席楽長ほか10名

 雅楽に使われる楽器の篳篥は、平安時代の昔から大阪の淀川の鵜殿に自生する葦が、良いリードとして使われてきました。
 江戸時代に書かれた古楽書にも「鵜殿の葦が最高のものである」と書かれ、また明治時代からは宮内庁楽部で使用する篳篥の葦は、現在も鵜殿の葦のみを使用しています。 しかし、ここ数年、環境の変化により篳篥に使用できる葦が減少してきました。
 また、高速道路建設の話も浮上し、この高速道路が完成すると篳篥に使用できる葦は絶滅してしまうでしょう。
 雅楽は、世界でも一番古くから伝えられている総合芸術として、現在世界中から見直され、ユネスコ無形文化遺産にも登録されております。
また、ハワイ大学、ケルン大学、コロンビア大学などには雅楽を研究し演奏する団体も誕生し活発な演奏活動を展開しております。
 雅楽の中で篳篥は、主旋律を受け持ち、その音色が雅楽の音色を決定付けます。
 鵜殿の葦から奏でられる篳篥の音色は、雅楽の音色として平安時代の昔から親しまれてきました。鵜殿の葦が絶滅することは、雅楽の音色の死を意味するでしょう。
 私たち雅楽を愛し、演奏するものとして、平安時代から受け継がれてきた、篳篥のリードとして使用する最高品質の鵜殿の葦を私たちの世代で絶滅させてしまうことはできません。
 篳篥に使用する最高の葦を守るために最善の措置をとられますよう関係各位にお願い致します。
  2012年6月4日 (順不同)


  久邇 邦昭 前神社本庁統理 
豊 英秋 前宮内庁楽部首席楽長
安倍 季昌  前宮内庁楽部楽長
安齋 省吾 宮内庁楽部首席楽長
大窪 永夫 宮内庁楽部楽長
池邊 五郎 宮内庁楽部楽長
多 忠輝 宮内庁楽部楽長補
芝 祐靖 雅楽演奏家・日本芸術院会員
小野 功龍 天王寺楽所 雅亮会 楽頭 (大阪 四天王寺) 
笠置 侃一 南都楽所 楽頭 (奈良 春日大社)

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